2011年11月23日水曜日

〈イッツ・ア・ワンダフル・ライフ〉

アメリカ人が好きな映画ベストワン、クリスマスに家族で観る映画として本邦でも知られるようになったフランク・キャプラ「素晴らしき哉、人生!」が第2回「午前10時の映画祭」で上映されており、ウェブ上のレビューを散見すると相応の評価を得ているようだ。加えて、10月には日本では初の評伝という『素晴らしき哉、フランク・キャプラ』(著作・井上篤夫氏)が集英社新書として発売されたのもうれしいことだった。
イタリア移民・キャプラがアメリカおよびハリウッドでの半生で得た信条が色濃く反映された「素晴らしき哉、人生!」。ジェームズ・スチュワート以下の絶妙なキャステングに脂ののったキャプラ演出が相乗効果を醸しているものの、1946年公開時は興業的成功が得られず、その後の受け入れられ方は、まさに、この映画のストーリーをなぞった神話にも思える。そのほか、大衆と民主主義システム、メディア機能の描写などキャプラ作品の多くは現代の日本人にとって示唆に富んでいると思う。
井上氏の書籍でも指摘されているよう、スピルバーグらハリウッドの諸巨匠、あるいは、小津をはじめとしたサイレント期からの邦人監督にもキャプラの影響は明らか。自伝の邦訳がないのに加え、特にこの数十年来、日本での評価は希薄であったのは残念なこと。井上氏には感謝とともに新たなワークも期待しています。
札幌のシネコンでは来月上旬の上映ですか。

◆追記◆
トリビュート・トゥ・キャプラ、もう一つのクリスマス映画(2011/11/27)
♪ハーク、ザ・ヘラルド・エンジェルズ・シング(2012/12/22)
♪バッファロー・ギャルズ(2013/08/01)
《素晴らしき哉、人生!》(2013/12/30)

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